ほとんどの学生に「基礎が大事」の本当の意味が伝わっていない
「勉強は基礎が大事」
この言葉を聞いたことのない者がいるだろうか。それほどよく聞くこの言葉。にもかかわらず基礎をないがしろにしてしまうものが多すぎる。あまりにも軽視しすぎている。
なんでなんだろうと私なりに考えて観察した結果が、我々指導者の「基礎が大事」つまり、「基礎が身についた」という判断の尺度の違いが大きすぎるという点にあるという結論に至った。
そこで我々、指導者の言う本当の「基礎が大事」という意味について語ろうと思う。そして、私なりの基礎の身に着け方について書こうと思う。
できる事は基礎が身についている状態ではない
生徒たちに基礎はどう?と質問したときの反応と、その実情は大きく乖離がある。実に多くの生徒が、基礎は解けました。と解けたことを、さも基礎が完成したように話してくる。
まずこれが間違いである。基礎問題が解けることは、基礎が身についたという状態ではない。
足し算を例にすると、8+7の計算を「15!」とすぐに答えられる生徒と指を折りながら「えーっと…んーっと、15かなぁ」と答える生徒は二人とも8+7を正解したので基礎問題は出来た。ということになる。
しかし、その差は大きいということは誰が見ても明らかだろう。この二人の生徒が次に27+96のような問題になるとどうだろう。おそらく前者はミスなく解けるが、後者はミスなく解けるだろうか。
つまり、【基礎問題が解けることは、基礎が身についたという状態ではない】ということが分かるだろう。
我々、指導者の語る、基礎が大事
結論から言うと基礎ができる状態ではなく、「基礎が身についている」という状態にしようねという意味で、我々、指導者は「基礎が大事」と言っている。
基礎はただできるレベルでは使い物にならない。先ほどの例の様に瞬時に使えるレベルになってこその基礎である。
運動でも基礎を習いたての人間は試合では使い物にならないように。囲碁や将棋の駒の動かし方を覚えただけでは戦いにならないように。「基礎というのはただできる、ただわかるだけでは何も使い物にならない」
基礎をないがしろにしている生徒、ここを勘違いしている。基礎問題をかなりの時間をかけて解き。正解したことで基礎が出来たと思い込む。もう基礎は大丈夫だから、もっと難しい問題をと意慾的で聞こえの良い挑戦をしてしまう。実はそれが遠回りだとも思わず。そんなレベルの生徒は実践問題の中で基礎を活用できるレベルにないのだから。
数学であれば公式やグラフを瞬時に出せ、図形問題なら頭の中にイメージを素早く作り簡易的な図をすぐに書ける状態でなければならない。
英語ならもちろん英単語、英文法なら自由自在に活用できなければ、読解問題は解けないだろう。
我々指導者にとっての基礎が大事、基礎さえできれば偏差値60になると言っているのは、そういう意味の基礎が大事だというからだ。
基礎がやっとの思いで解けるという状態では、まだまだ基礎に取り組むべきだ。「基礎を問題を見た瞬間に瞬時にノンストレスに頭の中に出し、自由自在に使える状態にまで染み込ませた状態」こそ基礎が身についたと言える。
基礎が身についたと、どう確認するのか
残念ながら、基礎は基礎的な問題集を解くだけでは身についたか個人では確認することが出来ない。
先ほどの足し算を思い出そう。7+8が瞬時に解ける生徒、時間をかけないと解けなかった生徒、おそらくどちらも、基礎が身についていないとは思っていない。27+96のような問題を解いて初めて繰り上がりの足し算が苦手だと気付くだろう。
つまり、基礎が身についているかどうかは、それを活用する問題を初めてわかる、つまりその単元の応用問題に対して取っ掛かりが何も見いだせないのなら基礎力不足だし、時間をかけて見いだせたとしても時間がかかったのであれば基礎力不足であり、その問題への挑戦権はない。おとなしく基礎問題を解くスピードと正確性を高める勉強をしよう。
基礎を身に着ける方法
基礎を身に着けるには基礎問題、基礎を確認するには応用問題というのは理解してもらえただろうか。
まずは基礎を出来る状態にし正確性を鍛えながら理解し、その後速さを鍛える。そのあとで実践的な応用問題を解いて基礎の活用方法を学びながら、基礎が自由自在に使えているか確認する。
前述した通り、応用問題に対して取っ掛かりが見いだせないのであれば、解説を読み、基礎へ戻る。解けたとしても時間がかかりすぎたり、間違うことが多い場合も、基礎へ戻るべきだ。ぐらついた基礎で応用は固まらない。
すると一度経験のある、あなたにとって、基礎問題の見え方や意識が変なする。真に大事な部分の片鱗が見えるようになるのだ。これが真の理解に近づく大事な一歩だ。自分に何が足りないのか、何ポイントなのかわかることが重要である。それが出来たらまた応用。
「基礎⇒応用⇒基礎⇒応用🔙」の繰り返しこそ基礎の教科方法であり近道はない。
基礎がおろそかな生徒ほど基礎の後の応用ばかり繰り返し、時間ばかりを溶かしていく。これがあなたの点数が伸び悩む正体だ。「基礎的な問題はもうできる」という認識こそ、あなたの誤りであり本当に正すべき誤りなのだ。
まとめ
基礎ができると思い込まず、何度も何度も基礎に立ち返りながら、しっかりとした土台を強化し続けよう。自由自在に使いこなせる基礎こそ身についた基礎であり、真の学力だ。
あえて言おう
「基礎は大事だ」